耐震性
耐震性は、地震の揺れへの耐久性を示す指標であり、耐震基準や耐震等級によって揺れへの強さを表します。2024年1月に発生した能登半島地震でも、多大な被害が発生しており、家の耐震性が再度重視されました。
「今後家を建てようと思うけど、地震への対策が心配」などと地震被害に不安を感じている方は耐震性について改めて確認しておきましょう。
耐震
耐震とは、建物の揺れへの耐制、地震への耐久度を示します。
地震が発生した際に、どれだけ耐えられるかを定めており、建築基準法では耐震性の基準が設けられています。
地震大国である日本では、いつ地震が発生するかわからないため、家を建てる際には一定の耐震性を備えておかないと危険です。
さらに耐震性が高い住宅に住めば、万が一の地震発生時に建物の倒壊や破損を防いで、被害を抑えられます。
建物の構造や地盤・基礎部分を補強することにより、耐震性を向上することが可能です。なお耐震を混合されやすい用語として、次2種類があります。
制震
免震
それぞれとの違いを確認して、地震対策を行う参考にしてください。
制震との違い
制震とは、揺れを吸収して建物の倒壊を防ぐ工法です。
耐震が地震に耐えられるよう建物を強化する工法であるのに対して、制震は地震の揺れを吸収する装置を備え付けて、建物に伝わる揺れを軽減します。具体的には、ダンパーなどの制振装置によって地震エネルギーを熱エネルギーに変換して、空気中に放出します。
制震は地震の揺れが上階に伝わりやすい高層ビルなどに採用されており、地震対策として効果的です。
免震との違い
免震とは、地震の揺れを建物に伝えない工法です。
建物と地盤を切り離すことで、地震が発生した時の揺れを建物に伝えない構造を実現しています。主に建物と地盤の間に免震措置を設置して、地震の揺れを受け流す仕組みを作っています。
免震は、耐震や制震より揺れを感じにくく、大きな地震が発生しても建物に被害が生じにくいです。耐震が建物を強化する工法であるのに対して、免震は揺れ自体を伝えないことで、建物の倒壊を防ぎます。
耐震基準
耐震基準とは、建物を建設するときに最低限備えておくべき耐震性を法律によって、定めた基準です。1950年に建築基準法が制定されてから耐震基準が設けられましたが、1978年の宮城県沖地震を受けて1981年に大きく法改正が行われました。1981年6月の建築基準法改正と共に耐震基準が変わり、法改正前の基準を「旧耐震基準」、法改正から現在まで適用されている基準を「新耐震基準」として扱っています。そのため、1981年6月以降に建てられた建物は新耐震基準で建設されていますが、法改正以前の建設物は旧耐震基準で建てられている可能性があります。
つまり1981年6月より前に建てられた住宅は、震災などで倒壊する可能性があるということです。
耐震性について理解を深めるためにも、新耐震基準と旧耐震基準の違いを確認しておきましょう。
新耐震基準
新耐震基準では、震度6強から7程度の大地震が起きた際にも倒壊しない耐震性を定めています。実際に1995年に発生した阪神淡路大震災では、新耐震基準で建設された建物は被害が少なく地震による倒壊が抑えられました。
2020年にも建築基準法が改正され「2000年基準」と呼ばれる耐震基準が適用されていますが、木造住宅に関する法改正がメインだったため、鉄筋コンクリート造の建物基準は変わっていません。
旧耐震基準
旧耐震基準は、1981年5月まで適用されていた耐震基準です。
旧耐震基準では、震度5強程度の地震では倒壊せず軽度な破損で被害を抑えられる耐震性を担保しています。
現在では旧耐震性基準で建設することは法令違反となるため、新耐震基準でしか家を建てられません。また、中古物件を購入する際にも、旧耐震基準で建てられていないか耐震性を確認して、必要があれば耐震改修工事を行う必要があります。
耐震等級
地震の揺れに対する強度を示す基準として、耐震等級が設けられています。耐震等級は2020年に施行された「住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)」で定められた建物の耐震機能を表す指標です。
耐震等級は1~3のランクに分かれており、数値が上がるほど耐震性が高いことを示しています。そのため、不動産売買の際には耐震等級が建物の価値を測る指標となっています。
耐震等級1
建築基準法で定められている最低限の耐震を満たした機能です。
数百年に1度の震度6~7程度の地震でも建物が倒壊や崩壊しない耐震性を条件として定めています。震度5程度の地震であれば、住宅が損傷しないレベルの耐震性を兼ね備えています。
耐震等級1は耐震性の基準となる等級ですが、震度6以上だと損傷する可能性はあるため人によってはちょっと心細いと感じるかもしれません。
耐震等級2
耐震等級1の1.25倍の耐震性を基準としています。
長期優良住宅として認められるには、耐震等級2を満たす必要があります。さらに災害時の避難場所として指定される学校や病院などは、耐震等級2以上の耐震性を担保しなければなりません。
耐震等級3
耐震等級の1.5倍の耐震性を担保した水準です。
警察署や消防署など、災害時の救護・復興活動の拠点となる場所は、耐震等級3で建てられてます。震度7にの地震が2度おきた熊本地震においても、耐震等級3を担保した建物は地震被害に耐えられた実績があります。
耐震診断
耐震改修工事を行うためには、まず既存住宅の構造や地盤を調査し、改修工事を建てるために耐震診断が必要です。
主な耐震診断の流れは、下記の通りです。
1 物件の下見調査
2 補助金の申請
3 本調査の実施
4 計算
5 評定
6 結果報告
まずは予備調査や現地調査によって、現在の耐震性能を診断してもらいましょう。
改修設計の流れ
耐震改修工事を実施するさいには、改修設計の流れを把握しておく必要があります。
住宅の耐震性を調査したあとに、実際にどのような方法で耐震性を向上させるか、改修設計を行わなければなりません。
改修設計の流れは、次の通りです。
改修計画の提示
改修計画と見積を確認した上で、納得してからリフォーム業者と契約をしましょう。
改修工事
リフォームを依頼する業者を決定したら、いよいよ改修工事をスタートできます。
改修工事の流れは以下の通りです。
1 業者を確定
2 契約を締結
3 補助金の申請
4 工事着工
5 工事完工
なお耐震改修工事には、国や自治体が補助金制度を設けている可能性があります。改修工事を実施する前に、管轄の自治体ホームページから活用できる補助金がないかチェックしておきましょう。