防犯カメラを設置する場所や注意点・機能のポイント

防犯カメラを設置する目的として「犯罪発生の抑止(防止)」を挙げる方は多いでしょう。防犯カメラが設置されていることが分かると防犯意識の高い建物であると判断され、侵入をあきらめる犯罪者が多いといわれています。

もちろん、万一侵入の被害に遭った場合に撮影した映像を手掛かりとし、早期解決を図れるメリットもあります。


防犯カメラを設置するメリット


犯罪・不正行為の抑止


防犯カメラを設置することで、犯罪や不正行為を抑止効果を抑止効果によって未然に防ぐ効果があります。

警視庁のデータでは、侵入窃盗(空き巣や事務所荒らし、出店荒らしなど)の認知件数は年々減少する傾向にありますが、令和4年の認知件数は36,588件もあり、決して少ない数とは言えません。

犯罪や不正行為を発生させないために、常時警戒していることを知らせることができる防犯カメラの設置は有効といえます。


犯罪・不正行為の監視・記録および解決


万一犯罪被害に遭ってしまった場合も、その現場を映像で記録しておくことができます。その録画映像データが証拠となるため、現場状況の把握や犯人の追跡をすばやく行え、事件の早期解決のサポートにつながります。


従業員の業務フローの改善(効率化)


防犯カメラで録画した映像を活用し、業務中の従業員がどのように社内を移動しているかなどの分析ができ、導線の改善に役立てることができます。

日ごろ社員が利用している通り道も、その経路ひとつを見直すことで効率改善を図れる可能性もあります。また、電話連絡があった際や取引先の担当者がオフィスを訪問した際に当該の従業員が存在しているかを防犯カメラのモニターですぐ確認できるなど、業務におけるさまざまなメリットがあります。


労務管理


近年、働き方改革が推進されていることで、労務管理を目的としてオフィスに防犯カメラを設置している企業もあります。防犯カメラの設置によって労務管理に欠かせない「社内の可視化」を実現することができ、遠隔から従業員の様子を確認できるなどのメリットもあります。

長時間労働やハラスメント行為の防止など、労働環境の改善に役立ちます。


犯罪・不正行為抑止につながる設置のポイント


犯罪や不正を抑止し、未然に防ぐ目的で防犯カメラを設置するポイントは、カメラを設置する位置や向きに気を配ることです。

特に設置可能なカメラの台数が限られている場合には、各カメラを設置する位置や向きをしっかり考えましょう。設置場所やカメラの方向を誤ってしまうと、せっかく映したい場所がカメラに映らないこともあります。また、視覚的な抑止効果の観点では、侵入を企てる者に防犯カメラの存在に気付いてもらえない可能性もあります。

設置したい場所にカメラを仮置きし、実際に映した画面を確認しながら最適な位置や方向を決定しましょう。


屋外にカメラを設置する場合の注意点


屋外に防犯カメラを設置する場合には、光の入り具合などにも気を配る必要があります。カメラに西日や朝日が映り込んでしまうと、撮影したい映像がまったく撮れない可能性があります。

屋外に防犯カメラを備え付ける際には、西日や朝日を考慮したうえで映したい方角やカメラ自体の設置角度に気を配りましょう。


侵入者に警告が伝わるような配置


カメラそのものが目立たなければ、防犯カメラの存在が通行する人の目に入りません。そのような場合はカメラを目に留めてもらう代わりに、防犯カメラの設置をアピールするため目立つ看板を設置すると良いでしょう。

入り口や窓際など、不審者の侵入口となりやすい箇所に看板を設置し、防犯カメラの犯罪抑止効果をさらに高める工夫も大切です。

看板に書く文言には「24時間体制」「遠隔で監視中」など、短くて伝わりやすい威嚇メッセージを入れるとより効果的です。


犯罪・不正行為の監視(記録)・解決につながる設置ポイント


侵入や犯罪行為の様子を鮮明に撮影し、映像データを手掛かりとして事件解決につなげるには、侵入者の姿を鮮明に撮影できることが重要です。

侵入者は必ず徒歩でやってくるとは限らず、自動車などの乗り物で訪れることも想定できます。その場合は車のナンバープレートまで、しっかり映像で判別できる状況にしておくことが必要です。

撮影対象が鮮明に撮影できる最小限の画素数を備えていることや、最適なズーム機能をもつカメラを選定しましょう。

また、24時間365日映像を撮影し続けることを考慮すると、夜間や悪天候時など光が入りにくい状況でも現場をクリアに撮影できることも大切です。


内部犯行にも役立つ


オフィスで起こり得る事案や事件は、外部からの侵入者によるものだけとは限りません。内部の人物による不正行為や犯行が発生する可能性もあります。それら内部不正を防止するためにも、防犯カメラで鮮明な記録を残すことは早期の発見・解決につながります。


設置台数が限られる場合のポイント


防犯カメラを限られた台数しか設置できない場合は、1台1台できるだけ高性能の防犯カメラとしておくと安心です。

犯人の動きを追って撮影可能な追従カメラや、パソコンやスマートフォンでの遠隔操作が可能なカメラ、赤外線による暗視機能を備えたカメラなどが有用でしょう。


防犯カメラの設置・運用に関するガイドライン・注意点


防犯カメラを設置して運用管理するにあたっては、不特定多数の人や物品を常時撮影することとなります。そのためプライバシーの保護への配慮は必要不可欠です。

多くの自治体において「防犯カメラの設置・運用に関するガイドライン」が作成されているため、設置する前に必ず確認しておきましょう。

以下に、ガイドラインのおもな要項についてご紹介します。


防犯カメラの撮影区域はプライバシーへの配慮を


防犯カメラの設置場所や撮影方向によっては、所有する敷地以外の建物や個人が映り込んでしまうかもしれません。防犯カメラで録画された映像で家や個人が識別されてしまうと、その映像は立派な個人情報となり、他者のプライバシーを侵害する可能性があります。

私的空間や不要な箇所の撮影が行われないように設置する場所や方向、台数を配慮しましょう。


防犯カメラの設置明示


プライバシー保護目的に加え犯罪抑止効果も得られるため、防犯カメラが設置されていることが分かる表示をします。表示には設置者の名称や連絡先も明記し、設置区域内によく見えるように掲示しましょう。


管理責任者の選任


カメラや撮影した映像の取り扱いを適切に行うため、防犯カメラの管理責任者を選任しましょう。


管理責任の選任


カメラや撮影した映像の取り扱いを適切に行うため、防犯カメラの管理責任を選任しましょう。


映像データの保存・取り扱い


防犯カメラの設置者は撮影した映像の漏えいや改ざんを防止することが求められています。データの漏えい防止や複製・加工の禁止、定めた保存期間を超えたデータの消去などの社内ルールを規定しましょう。


秘密保持


設置者および管理者は、撮影映像に記録された個人を特定できる情報などについて漏えいや不当な使用を行わないことが求められています。

設置者や管理者を退いた後に関しても、同様とされています。


映像データの外部に対する提供


映像データを使用目的以外の用途での利用、閲覧、提供は行わないことが求められています。

ただし、法令にも基づく場合や人命・公共の利益にともない至急必要な場合、捜査機関から情報提供の依頼があった場合、撮影された本人の許可や依頼があった場合に限って限定的に提供が認められることがあります。


苦情等の処理


設置者・管理責任者は防犯カメラに関する苦情や問い合わせがあった場合、すばやく誠実に対応しましょう。

必要に応じて苦情対策の担当者を選任することや対応に関するマニュアルなどを作成しておくとよいでしょう。


防犯カメラ設置後のメンテナンスの必要性


防犯カメラは24時間稼働させることが前提のため、一般的な家電よりも消耗が早いと考えられます。そのため、定期的にメンテナンスを行うことが欠かせません。

無償の修理交換サービスを備えた防犯カメラもありますが、その場合も一定のメンテナンスコストは定期的にかかってきます。無償修理サービスとは別に、保守メンテナンスに関する契約を行っておくと、不測の事態による修理コストを抑えられます。


メンテナンス費用


防犯カメラを設置すれば最短でも数年は使い続けるケースが一般的です。このため、年単位の保証が付帯されていることもあります。通常、防犯カメラシステムを購入した場合の保証期間は1年ですが、延長料金で5年保証などを選んでおくと、通常使用にともなう消耗やトラブルに対応できます。

また期間中は、定期メンテナンスを無料で実施してもらえるプランも選べます。保証外の点検や修理については、定期メンテナンスで2万5千円ほどの費用がかかるケースもあります。


購入とメンテナンスにかかる費用によっては、防犯カメラシステムそのものをメンテナンス付きでレンタルすることも1つも手です。

導入や設置にかかる初期費用や、その後のメンテナンスにかかる料金などが込みになった定額制のプランを選べば、コストの管理も楽になります。


防犯カメラの設置工事費用


防犯カメラの設置にかかる費用(業務用)は、一般的には10~50万円ほどとされていますが、これだけ相場に開きがあるのはなぜかというと、高所に付ける場合や長距離の配線が必要となる場合などはその分、工賃や材料費が加わるためです。

機器とと設置を同じ会社に依頼することでセット価格となり、お得になる場合もあるため、計画段階で専門の会社へ相談し見積を取って検討することがおすすめです。